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カリンちゃんを動かした話

Published at December 5, 2019 5:30 p.m.
Edited at December 5, 2019 7:08 p.m.

この記事は Happy Elementsカカリアスタジオ Advent Calendar 2019 9日目の記事です。


 こんにちは!
 Happy Elements カカリアスタジオの アニメーションデザイナー です。

 カカリアスタジオの強みのひとつである2Dイラスト。
 その 「イラストの良さをそのまま活かしてアニメーションできるか」
 という点を重視して制作してみたお話をしていきます!

 今回のアニメーションは Sprite Studio で制作しました。

 ※本記事はGTMF2019で登壇した内容を再編集したものです。

▼カリンちゃんを動かした話

▶カリンちゃんとは?

 
 
 カリンちゃん は、Happy Elements株式会社カカリアスタジオの
 公式キャラクターユニット 「カカリアンズ」 の女の子です。
 気になる方はぜひ Twitter をチェックしてみてください!

▶イラストを「そのまま使う」

 今回は 正面、ななめの2パーツを勢いで入れ替える作戦 です!
 顔については細かい角度をたくさん作るといったモデリングはやっていません。
 髪、上着などの柔らかいものはざっくりとメッシュ・ボーンを使用しています。

 

▷完成品がこちら

 基本的には変形を駆使したなめらかな動きではなく、
 20フレームで リミテッドアニメーションぽさ を残した動きを目指しました。
 ※リミテッドアニメーション...1秒間に8枚12枚の絵で表現する日本のアニメ制作では一般的な方法。
 ※今回は「ぽさ」なので完全なリミテッドアニメーションではないです。

 
 メルクストーリア などのSDキャラクターモーションでも
 同じ考え方でパーツを入れ替えてアニメーションさせています。


 いちおう正面の顔を変形を駆使して角度のついた顔にしてみたりしたんですが、
 「イラストレーターさんが描いた絵とぜんぜん違うやん……」
 ということが起こりまくって耐えられませんでした。
 ※見せられないよ!ってくらいひどかったのでデータはどこにも残していません
 
 ずーっと思ってたんですが改めて、
 イラストレーターさんが描いた絵のほうが手癖も相まって可愛い と確信したので、
 今回はイラストレーターさんの絵を 「そのまま使う」 ことだけを考えました。

▼制作のながれ

▶絵コンテ

▽イラストレーターさんと絵コンテで打ち合わせます。
 メガホンを構えているポーズが元からあったので
 正面からそれにつなげるプランになりました。
 

▽動きを作る上で変形では厳しそうなパーツがありそうだねーという話をしました。
 

 こうして必要な素材を洗い出しました。
 素材をイラストレーターさんに制作してもらいます。

▶イラスト、パーツ分け

▽正面
 

▽ななめ
 

 髪の毛は正面も横も同じパーツを使用しています。

 使い回しを考えると、
 「ここ動かすと粗が出るので、このパーツの処理はこのようにお願いします!」
 というやりとりが発生するんですが、
  このポーズしかさせないので細かい調整は必要ありません でした。

▶ラフ組み

▽絵コンテをもとに、必要な絵(原画)を入れました。
 

 ▲パーカーが変形前ですが、だいたいの配置と動きのプランを入れています。

 細かいニュアンスの角度がなくても、
 勢いがあって大きく動くタイミング や、
 パーツの入れ替え前後で 繋がる動きを意識する と、
 違和感が少なくアニメーションさせることが出来ます。

▶メッシュやボーンをいれて動かす

▽メッシュを入れます。ここ曲がってほしいなってところに点を打ちます。
 
 ※曲がればいいやの精神で適当です。もっといい入れ方があるはず……

▽ボーンを入れます。このボーンを動かすと絵が動くようになります。
 

▽こんな感じで動きます。
 

 髪の毛、パーカーといった「関節」がない素材にはこの作業をします。

▷いろいろ調整して完成

 顔や体が2パーツの入れ替えなので、
 腕の入れ替えの回数を増やしたり、
 アホ毛や腕の動きをつなげる意識 をしてみたり。
 いろんな要素を散りばめて情報量を増やす と、
 大きなパーツの入れ替えが気にならなくなりました。

 

▷メリット

 ・ほぼ変形しないので 絵が崩れない
 ・ポーズごとにパーツを用意するので 使い回しを考えなくていい
   →影や服のシワなど、 細かいニュアンスを取り入れることができる
 ・ポーズが決まっているのでアニメーション作業がスムーズ

▷デメリット

 ・1ポーズごとに描いてもらうため 作画工数が増える
 ・決められたポーズしかできない 


 他のやり方や他のツールと比べないと
 完全にメリットなのかデメリットなのかがはっきりわからないところですが、
 あくまで今回やってみての感想としてあげられるのはこんなところでした。


「こういうアニメーションって複雑なモデリングしないといけないんでしょう?」
 ……って思ってるみなさん!

 そこに2枚絵があれば!
 パーツをちょっと分ければ!
 動かすことができるんです!

 という叫びを締めの言葉とさせていただきます。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
  カカリアスタジオのアドベントカレンダー はまだまだ続くので、よろしくおねがいします〜!